「月の夜の夢」――アニーサのぼうけん(?)のおまけ
――それは夢か、それとも?――
アニーサ「それで? それで私はどうなるの、おじさん!」
謎の人「ごめん、この先はまだ考えている途中なんだ」
アニーサ「ええ~! まだ旅に出たばかりなのに~!」
謎の人「大丈夫、まだまだ旅は続くよ。君が夢を見ることを忘れてしまうまでは」
アニーサ「おじさんは夢を見なくなったの?」
謎の人「いや……ほんの少し見ることが減っただけさ。今は、君の半分ぐらいかな?」
アニーサ「もっと見たい?」
謎の人「ああ、見たいね。空を飛んだり、鼠や猫と話したり、どこにもない場所に行ったりしてみたい」
アニーサ「楽しいね! 私も、これからそんな旅をするの?」
謎の人「そうなるといいなと思ってる」
アニーサ「何で曖昧なの?」
謎の人「私も知らないから」
アニーサ「じゃあ、考えて! 今すぐ!」
謎の人「ごめんなさい、さすがにそれは無理です」
アニーサ「ケチ~」
謎の人「代わりに別の話をしよう。ある学者の説によると、この世はすべて夢で出来ているらしい」
アニーサ「え? でも、私ここにいるよ?」
謎の人「そう思っているだけで、実はそれも夢なんだ」
アニーサ「じゃあ、誰がその夢を見てるの?」
謎の人「私達の知らない沢山の誰か――らしい。いくつもの夢が重なり合って、より大きな夢になる」
アニーサ「……でも、別の人が見てる夢は覗けないよ?」
謎の人「夢を見てるとね、気付かない内に別の人の夢に迷い込むことがあるのさ」
アニーサ「それって、変じゃない? 夢は記憶が生み出すノイズみたいなものじゃないの?」
謎の人「む、難しいこと知ってるね……」
アニーサ「だって……ふわぁぁぁ……勉強……したもん」
謎の人「そうか。君はどっちを信じる? どっちを信じたい?」
アニーサ「おじさんの……話の方が……面白い……かも……zzz」
謎の人「寝ちゃったか……この話には、まだ少し続きがあるんだけど……それはね――」
謎の人「――どちらも夢でどちらも現実という可能性があるって話さ」
さて これは君が見ている夢か? それとも私が見ている夢か?
夢か現か我々に知る術はなく 物語という名の現実はいつも人を魅了する
されどなお 人は知ることを望み よって夢の話はさらなる夢を生むのだろう
不思議なるかな! 不思議なるかな! 夢に酔えば目覚めを迎え 現を求めれば夢に迷う
我らは夢の旅人 すべてあるがままに受け入れ ただ さすらうのみ
(『アニーサイラスト集』収録 【月の夜の夢】より)
★senekaのつぶやき
というわけで、第?話――のオマケです。
第?話って何だよ? と思った貴方! ――そこに気付くとはやはり天才か。
いや、今まで会話文のみの話の呼吸というかリズムがなかなか掴めなかったんですが、上のアニーサを描いた後で、「あ、このシチュエーションなら会話文のみの話が書けるかも」と思いまして、こうなりました。
そのため今回の話は、後日談と言うよりは外伝と言った方が正しいです。
果たして、アニーサの冒険は語り部が語るただの物語なのか? それともアニーサが見ている夢なのか? 最終回ですべてなかったことになって、シラットさんやネクロドはただのペットだったというオチが待っているのか?w
しかし、それをここで語るのは野暮というものでしょう――すべては貴方の想像のままに。
では、本日も読んで頂きありがとうございました。
ps
カテゴリを外伝に変更しました。
◆次の外伝『「神魔戦記」――女悪魔の受難』は →こちら
← 試しに参加してみました。
第2回 5分で読める自作短編小説ブログトーナメント
アニーサ「それで? それで私はどうなるの、おじさん!」
謎の人「ごめん、この先はまだ考えている途中なんだ」
アニーサ「ええ~! まだ旅に出たばかりなのに~!」
謎の人「大丈夫、まだまだ旅は続くよ。君が夢を見ることを忘れてしまうまでは」
アニーサ「おじさんは夢を見なくなったの?」
謎の人「いや……ほんの少し見ることが減っただけさ。今は、君の半分ぐらいかな?」
アニーサ「もっと見たい?」
謎の人「ああ、見たいね。空を飛んだり、鼠や猫と話したり、どこにもない場所に行ったりしてみたい」
アニーサ「楽しいね! 私も、これからそんな旅をするの?」
謎の人「そうなるといいなと思ってる」
アニーサ「何で曖昧なの?」
謎の人「私も知らないから」
アニーサ「じゃあ、考えて! 今すぐ!」
謎の人「ごめんなさい、さすがにそれは無理です」
アニーサ「ケチ~」
謎の人「代わりに別の話をしよう。ある学者の説によると、この世はすべて夢で出来ているらしい」
アニーサ「え? でも、私ここにいるよ?」
謎の人「そう思っているだけで、実はそれも夢なんだ」
アニーサ「じゃあ、誰がその夢を見てるの?」
謎の人「私達の知らない沢山の誰か――らしい。いくつもの夢が重なり合って、より大きな夢になる」
アニーサ「……でも、別の人が見てる夢は覗けないよ?」
謎の人「夢を見てるとね、気付かない内に別の人の夢に迷い込むことがあるのさ」
アニーサ「それって、変じゃない? 夢は記憶が生み出すノイズみたいなものじゃないの?」
謎の人「む、難しいこと知ってるね……」
アニーサ「だって……ふわぁぁぁ……勉強……したもん」
謎の人「そうか。君はどっちを信じる? どっちを信じたい?」
アニーサ「おじさんの……話の方が……面白い……かも……zzz」
謎の人「寝ちゃったか……この話には、まだ少し続きがあるんだけど……それはね――」
謎の人「――どちらも夢でどちらも現実という可能性があるって話さ」
さて これは君が見ている夢か? それとも私が見ている夢か?
夢か現か我々に知る術はなく 物語という名の現実はいつも人を魅了する
されどなお 人は知ることを望み よって夢の話はさらなる夢を生むのだろう
不思議なるかな! 不思議なるかな! 夢に酔えば目覚めを迎え 現を求めれば夢に迷う
我らは夢の旅人 すべてあるがままに受け入れ ただ さすらうのみ
(『アニーサイラスト集』収録 【月の夜の夢】より)
★senekaのつぶやき
というわけで、第?話――のオマケです。
第?話って何だよ? と思った貴方! ――そこに気付くとはやはり天才か。
いや、今まで会話文のみの話の呼吸というかリズムがなかなか掴めなかったんですが、上のアニーサを描いた後で、「あ、このシチュエーションなら会話文のみの話が書けるかも」と思いまして、こうなりました。
そのため今回の話は、後日談と言うよりは外伝と言った方が正しいです。
果たして、アニーサの冒険は語り部が語るただの物語なのか? それともアニーサが見ている夢なのか? 最終回ですべてなかったことになって、シラットさんやネクロドはただのペットだったというオチが待っているのか?w
しかし、それをここで語るのは野暮というものでしょう――すべては貴方の想像のままに。
では、本日も読んで頂きありがとうございました。
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by d_seneka
| 2012-11-24 15:23
| 外伝