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『アニーサのぼうけん』

merin.exblog.jp

senekaがドラゴンブレイブのキャラを使って書いているSSのブログです。(元のゲーム知らなくても楽しめる……はず)

(実は第五部が一番好きだったりする)
『アニーサの奇妙なぼうけん』――小ネタその14_d0031185_10492587.jpg

アニーサ「ごごごごごごごごごご……」
ネクロド「(口で言うと凄く間抜けね……)」
アニーサ「いくよ……」
髑髏女王「来るが良い……」
アニーサ「ラグ・ドール!」
髑髏女王「ベアー・イン・ヘブン!」


アニーサ「オラオラオラオラオラオラオラオラオラオラァ!」
髑髏女王「無駄無駄無駄無駄無駄無駄無駄無駄無駄ァ!」



アニーサ「以上、説明不要ってことで今回の小ネタは終了でいいかな~?」
シラット「いいわけあるかぁ!」
アニーサ「え~~~面倒臭い~~~。あの漫画、可愛いキャラ出てこないし」
シラット「だったらネタに選ぶなよ……せめてもうちょっと何か引用しろ」
アニーサ「……」
髑髏女王「……」
アニーサ「ドラドラドラドラドラドラドラドラドラドラドラドラ!」
髑髏女王「バルバルバルバルバルバルバルバルバル!」
シラット「殴り台詞変えただけかよ! 台詞喋れ、台詞を!」
ネクロド「それ以前に、バルバルは別の作品だと思うわ」
髑髏女王「と、言われても、妾は長い台詞を覚えるのは苦手である……」
アニーサ「ひたすら、『ストレイツォ容赦せん!』って言い続けて誤魔化すとか?」
髑髏女王「延々と素数を数え続けるのも良いかも知れぬな」
シラット「どちらも却下だ」

アニーサ「あ、ポーカーやろ、ポーカー♪」
シラット「あ~、あのネタか。魂賭けたりするのか?」
アニーサ「勝ったら、ハーゲンダッツのアップルパイ欲しい♪」
髑髏女王「妾はラムレーズンが良いな」
シラット「緊張感の欠片もねぇ……」
ネクロド「配るわよ」
アニーサ「あ、勝てるかも、コール」
髑髏女王「三枚レイズ」
アニーサ「じゃ、勝負!(止まれぃ! 時よ!)」
髑髏女王「な……妾の手が……変わっている!」
アニーサ「オープンの瞬間、時を止めて手札を交換した! やれやれだ――あれ? あれれ?」
ネクロド「――ブタね」
シラット「女王の方もブタだぜ」
ネクロド「つまり、お互いブタで張り合ってたわけね。ポーカーではよくあることだけど」
アニーサ「……」
髑髏女王「……」
アニーサ「普通の人に出来ないことを平然とやってのける! そこにシビれる憧れるゥ!」
シラット「誤魔化すなぁぁぁぁぁ!」

ネクロド「なら、少し真面目にやりましょうか。スタンドを出しなさい、ダメ鼠」
シラット「ほぉ……俺様に喧嘩売るとはいい度胸だ、骨まで灰にしてやるからそこ動くなよ」
アニーサ「ごごごごごごごごごご……」
ネクロド「プッ……クスクス……。あんたもプロシュート兄貴から何も学んでないクチね」
シラット「どういう意味だ?」
ネクロド「そこ動くなよ、なんて言う暇があるなら、さっさと攻撃しろ、って話よ。
 それとも、空中に固定化したナイフが見えないほど馬鹿なのかしら?」
シラット「なにィ!? いつの間に……」
ネクロド「どちらがいい? 夢に引きずり込まれて死ぬか、それとも、粉々になって暗黒空間にバラまかれるか」
シラット「ちょっと待て、スタンドは一人一体ってルールはどこいった?」
ネクロド「我がスタンド『ゲート・オブ・ヘブン』の能力はact13まであるわ」
シラット「チート過ぎるだろそれはっ!!!」
ネクロド「私、残酷だから」
髑髏女王「あの猫の方が妾よりボスっぽい気がするのは何故であろう……」
アニーサ「あー……んー……生まれついての悪だから、張り合っても無駄かも」
ネクロド「聞こえてるわよ、アニーサ」

アニーサ「あ、このネタとかいいかも」
髑髏女王「そなたが、『ドイツの科学力は世界一ィィィィィ!』と叫んでマシンガンを乱射するのか」
アニーサ「うんうん。で、最後に『カ・イ・カ・ン♪』って言うの」
シラット「例によって、ネタが節操なくなって来たな、おい」
髑髏女王「服が汚れそうなのが気になるのぅ……これ、高いし」
アニーサ「『ベアー・イン・ヘブンは時をスッ飛ばす!』って言えば全部かわせるよ~」
髑髏女王「それは少々卑怯ではないか?」
アニーサ「主人公はもっと卑怯だから大丈夫♪」
髑髏女王「ボスとは悲しい存在であるなァ……」
アニーサ「ところで、撮影終わったら何か食べに行かない?」
髑髏女王「よかろう。だが、妾は味にはちょっとうるさいぞ」
シラット「普通にガールズ・トークしてんじゃねぇよ……」
アニーサ「えーと、シーザーくん追悼しながらスパゲッティ・ネェロ食べて。
 トニオさんの『トラサルディ』でプッタネスカ食べて。
 ナラの木の薪で焼いて、ボルチーニ茸をのっけたマルガリータ食べて――」
ネクロド「一体何件回る気なのかしら……」
アニーサ「漫画に出てきた店全部!」
シラット「アニーサの奇妙な食べ歩きかよ!」
髑髏女王「うむ、楽しそうじゃな♪」
ネクロド「貴方はもっとボスの自覚を持ちなさい」



★senekaのつぶやき
と言う訳で、一ヶ月ぶりの更新です。
ただ……正直言っちゃうと、絵描いたとこで力尽きました。なのでオチはありません。(汗)
いや~、JOJOはネタ台詞の宝庫なんですが、以前ジブリネタでやったみたいに、台詞と台詞つなぎ合わせて遊ぼうとすると、どうもしっくりこなかったのです。
とりあえず、有名なネタをちょこちょこ入れてみましたが……イマイチですねぇ……やっぱり、最初の絵とオラ無駄ラッシュがすべてかも知れません。
DIO(その他ボス含む)役として髑髏女王出してみたのですが、何故でしょう、ノッケから可愛い人になってしまいました――本家ドラブレだと恐るべき不死族の女王って感じで、能力的にも探索SR最強クラスなのに、どうしてこうなったwww
あ、ちなみに、ここに出てきたスタンドの名前にはしっかり元ネタがあります♪
 
# by d_seneka | 2013-09-23 18:58 | 小ネタ
おう、お前さんももう一人前だな。
あぁ? 俺のことを知らない、だと? 前に会った気がしたんだがな……なら →ここ を読んでくれ。その後で話をしよう。

で、今日は何が聞きたいんだ? お前に教えることはもうあまりないぜ――。


 ギルイベキタ━━━━ヽ(*>∇<)ノ━━━━!!!


ん? ギルドバトルなら、サーバ不安定のため延期になったぞ?

 Σ( ̄ロ ̄lll)  ナンデスト!?

時間指定あり、しかも一戦一時間以内ってのがネックだったな。
同時刻にアクセス集中してサーバダウン連発だ――ま、戦前に予想されてた通りだが。

 (゚_。)? ドウスレバヨカッタノ?

それを俺に聞かれてもな……一応、個人的な案はあるにはあるが。

 o( ̄▽ ̄o)(o ̄▽ ̄)o オシエテオシエテー

そうだな……俺ならサーバ落ちを回避するため、戦闘可能期間をもっと長く取る。
あと、一日の戦闘回数に制限を加えるかな……150戦ぐらいが妥当じゃないかと思うが。
それと、固定のギルド同士の対戦という縛りをなくす。

 o(>▽<)o グタイテキニドウゾ!

飽くまで俺の案だから期待するなよ……実現可能かどうかも解らんしな。

 (1) イベント期間を十日間とし、その内、戦闘期間を9:00~0:00とする
 (2) 非戦闘期間中のみ、個人別にバトルに参加するかしないかの登録、解除ができる。
 (3) 参加者は、戦闘期間中であればいつでも敵ギルドを選び、戦闘を仕掛けることができる。
     ただし、攻撃対象は参加者のみ。
 (4) 個人が一日に攻撃できる回数は150回まで。
     また、同じギルドへの攻撃は一日三回まで。
     さらに、同一人物への攻撃は一日一回までとする。
 (5) 戦闘に勝利すると、相手の総攻撃力総防御力に応じて、個人とギルドに戦功ポイントが加算される。
 (6) 戦功ポイントに応じてギルド順位、個人順位を決め、イベント後に報酬を出す。
     それとは別にギルド勝敗数ランキングを決め、これにも報酬を出す。(少数精鋭ギルドの方が有利?)
     なお、一定戦数以上こなさないとギルド報酬は受け取れない。

こんなところか。
ま、今の個人バトルに、ギルドというくくりを加えただけだがな。
少なくともこれなら、多少は鯖落ちも減るだろうさ。

 (゚Д゚) ショボーン ←弱小一人ギルド。

こればかりはなぁ、強い奴を数多く揃えてるとこが勝つのは仕方ないと思うぜ。
でないと、ギルドバトルの意味がねぇだろ――ま、ソロギルドでもそこそこやれる仕様にはしたつもりだが。
しつこく言うが、これは飽くまで俺の一案だ。ここに書いたからって採用されるわけじゃねぇしな。

 ( ≧▽≦)/ ツヨイギルドニイキタイ!

気持ちは解るが、そういうとこはレベル制限とか儲けてる場合が多いぞ。
ん? 何だ? お前もアニーサと同じか? 仕方ねぇな……。
いいだろう、ちょうどギルドバトル(延期)もあったことだし、俺がギルドについて色々教えてやろう。


【o( ̄▽ ̄)o ギルドの基本!】


まずはギルドの基本仕様からだ。

 (1)プレイヤーレベル30にならないとギルドには加入できない。
 (2)ギルドを新たに創設するにはプレイヤーレベル50が必要になる。
 (3)メンバーの初期最大人数は20人。ギルドレベルが5の倍数に達する毎に一人増える。(30名まで)
 (4)ギルドにゼニもしくは魔石を貢ぐ(拠出)ことで、各属性モンスターのステータスを上げるギルドスキルを強化できる
   (ただし発動はギルドバトル時のみ)。また、メンバーのトータル供出量に応じてギルドレベルが上がる。
 (5)加入者はギルドメンバー専用の掲示板が利用できる。
 (6)加入申請は自由に出来るが、団長もしくは副団長の承認が必要になる。
 (7)脱退はいつでも自分の選択で自由に出来る。(※創設者以外)

とりあえずこんなとこか。
(1)と(2)はそのまんまだな。既存のギルドに入るか、自分で作るかは自由だ。
途中までは誰かのギルドに在籍して、強くなってから抜け、自分のギルドを創設するという奴も多い。

 (  ̄▽ ̄)ノ ツヨイヒトボシュウ!

(3)(6)にもある通り、メンバー人数には制限がある上、加入には許可が必要だ。
ギルド側が強いプレイヤーを求めるように、プレイヤー側も強いギルドを求めることが多い、この二者の思惑は噛み合わない事が結構ある。ま、結局のところ、最後に物を言うのは日々の努力って奴だな。

さて、実際ギルドに入る、もしくは創設したとして何が出来るかなんだが、現状――

メンバー集めて掲示板でダベる

もしくは、

皆でゼニと魔石集めまくってギルドを大きくする

ぐらいしかやる事がねぇ。

  ̄O ̄)ノ ヒマー

もちろん、ギルドの内部ルールによっては色々とやることもあるだろうが、ゲームの仕様的にはこれぐらいだ。
同じギルドに入ったからと言って、特に何か変わるわけでもねぇ。
実際、ギルドメンバー同士でも仲間じゃなかったり、まったく面識ないとかザラだ。

 o( ̄▽ ̄)oo( ̄▽ ̄)oo( ̄▽ ̄)oo( ̄▽ ̄)o ナカヨシー

ま、同じギルドに所属していれば、間接的に仲間だというアピールにはなるがな。

ところで、ギルドの掲示板だが、これはメンバー全員で利用できるメモ帳みたいなもんだ。
表示されるのは発言者の名前と時間、書き込み内容のみ。スレッドを立てて話題を限定することはできず、自動更新機能等もないが、非常に動作が軽く、簡易チャットとしても使える。
ドラブレのメッセは24時間以内に50件までという厳しい制限があるので、長話はしたいがチャットルーム借りるのは面倒、という人間にとっては非常に便利だ。

 Ξ(  ̄▽ ̄)ノ――◎)+o+) アニーサアタック!

当然ながら、書き込み内容はギルドメンバー全員が閲覧できる。喧嘩とかすんなよ。

で、ギルドに所属していない人間が特に気になるであろう拠出だが、さっき書いたとおり、要はギルドへの貢物だ。
額は一回につき、ゼニ100,000~5,000,000もしくは魔晶石5~100個。当然ながら、出したら戻ってこねぇし、高い方がギルド経験値も溜まりやすい。
供出額の総計はギルド内ランキングとして記録されるので、誰がいくら出したかは一目瞭然なんだが……これがトラブルの種になることもあるようだ。ギルドによっては義務化しているとこもあるので、加入前に確認した方が無難かもな。

 (>▽<)b キョウシュツシタクナイデゴザル!

あ~、言うまでもないが、加入前からこういうことぬかす奴は断られるぞ、きっと。

ギルドの基本的な利用に関してはこれぐらいでいいだろう。
無論、加入していればギルドバトルに参加できるが――ギルバト自体が未実装なので今は何も言えん。
では、実際に加入した場合どうなるのか? 次はドラブレ内に存在するギルドの性質について解説する。


【o(>▽<)o ギルドの性格】


多人数の寄り合いである以上、ギルドにも個性という奴がある。
一応、ギルドの紹介文を見れば大体のことは解るが、内部事情は千差万別だな。
ただ、一定の傾向はある、ここではそれについてざっと話をしよう。

真っ先に思い浮かぶのはひたすら強さを求めるギルドだな。
ドラブレがモンスターを集め、強化するゲームである以上、これは自然な流れだ。
メンバー同士のトレード、共有財産としての亀裂天敵集めなど、多人数の利点を生かした戦力強化法はいくらでもあるので、アクティブな団員の数が多いほど強化速度も加速度的に跳ね上がる。

 ヽ(*>∇<)ノ ミンナツヨーイ!

ただ……こういうとこは、入団前から一定以上の強さを求めるのがほとんどだ。
レベル○○○以上とか、純SR+○体以上持っている方、とかの制限も良く見かける。
強いギルドに入りたいのは解るが、初心者がいきなり無言申請したところで、基本は門前払いを喰うだろう。

 (゚Д゚) ショボーン ←申請蹴られた。

次に多いのが来るもの拒まずのギルドか。
立ち上げたばかりでメンバーが少ないところや、単純に大人数でガヤガヤやりたいとこ等に多い。
加入条件は厳しくない代わりに、どんなとこかは入ってみないと本当に解らん。

後は……ドラブレ以外のことで加入条件を決めているギルドだろうな。
リアルの友人だったり、同じ趣味を持っていたり、年齢が近い連中だったりと、条件は様々だ。
ギルドの紹介文にスカウト制あるいは勧誘制と書いてあったり、幹部による事前審査がある等、加入にはちょっとしたステップが必要になるだろうが、どんなギルドかは想像しやすい。

大体こんなところか?

 (゚_。)? ヒトリギルドハ?

おっと、そうだな――特殊なギルドとしてソロギルドというのがある。
名前の通り、創設者だけのギルドで募集もかけていない所のことなんだが、わざわざこれを作る理由は二つほど考えられる――勧誘避けとゼニ投下所だ。

プロフィール欄にギルド名が表示されていない場合、勧誘がしつこく来る場合がある。それを嫌って、自分専用のギルドを立ち上げるプレイヤーが結構いる。これが一つ。
もう一つは、ギルドに入る気はないが、ゼニが余って勿体無いので臨時的なゼニの投下場所として作る場合だな。これも結構多い。プレイヤーによっては、ソロギルドにどれだけゼニを供出したかを競っていたりもする。

多人数ギルドにせよソロギルドにせよ、ギルドシステムはモンスター集め以外の貴重な遊び要素だ。
これ! という正解は当然ないが、自分なりに上手く活用してドラブレを楽しんでもらいたい。
もちろんギルド設立も加入もしないというのも選択肢の一つだ。一人でコツコツと、ってのもそれはそれで楽しいものさ。


助言はここまでだ。機会があったら、また会おう。


  (>▽<)ノ  マタネー!!


そろそろネタがねぇんだがな……。
 
# by d_seneka | 2013-08-28 15:05 | はじめに読んでね
――旅は一筋縄ではいきません――

「アニーサの一日」――アニーサのぼうけん(6)_d0031185_644580.jpg

 アニーサがルレーノの街で船に乗って、タゴニア国を出てから、どれぐらい経ったでしょうか。
 国外に出て最初に感じたことは、文化の違いと治安の差でした。海一つ越えた先のロルドバは豊かな国で、タゴニアから訪れる者も多かったためさほどの差は感じませんでしたが、北の洞窟を抜けてから状況が一変しました。
『何にもないね……』
『だから言ったろ? 街なんてそうそう見つからねぇってな』
『人はいない方がいいこともあるわ。特に、こちらが一人の時はね』
 ロルドバの国境を越えた先には広大な無国地帯が存在し、あちこちに各種族の集落が点在しています。集落と集落の間にあるのは、海と見紛うばかりの大きな河や湖、高く険しい山脈、見通しの効かない暗い森。さらに、それらのほとんどには怪物や魔獣、そして――途中で力尽きた旅人の死霊が潜んでいます。誰でも旅が出来るような生易しい世界ではありません。
『何で頼んでもないのに襲ってくるかなぁ……』
『どいつもこいつも腹をすかせてるのさ、だからって喰われてやる義理はねぇが』
『野生の獣だけなのは運がいいわね。はぐれ魔器と出会うとか、想像したくもないわ』
 それでもアニーサは、熟練の旅人であるシラットさんと、豊富な知識を持つネクロドの助けを借りて旅を続けて来ました。あ、もちろんリリの存在も凄く助かっています――一緒に毛布に入らないと、アニーサはよく眠れません。
 今回は、そんな見習い魔女の、とある一日のお話です。

  *  *  *

 旅人の朝は早い――誰もがそう言います。でも、アニーサは早起きが得意ではありません。なので、大抵の場合は精霊さんが起こしてくれます。
 精霊さんは霧のような存在なので物に触れることは出来ませんが、動くとそれに合わせてちょっとだけ風が吹きます。アニーサの顔に手をかざし、そよ風で髪を揺らす……いつもの如く、一回では起きてくれません。もう一度やってみます……やっぱり駄目。それでも根気良く、彼女はアニーサの顔に触れ続けます。
「……お師匠様……お腹すいた……」
「……」
「……おねーちゃん……いないの?」
「……」
 もう一度、今度はさっきより大きく動いて。腕全体でアニーサを抱きしめるように。それでもやはり……前日の疲れが残っている時や、悪夢にうなされている時、アニーサは全く起きてくれません。
「あー……その、何だ……俺が起こそうか?」
「……」
 早起きのシラットさんが声をかけると、精霊さんは少し寂しそうな顔をした後、風の中に消えていきました。そういう日もあります。でも、明日はきっと――十回ぐらいで起きてくれるかも知れません。

 アニーサが起きたのを確認すると、シラットさんは朝食を狩りに出かけます。獲物はシロウサギやラカンシーが多いのですが、運がいい時はベイポを捕まえて御馳走です。でも、いつも上手くいくとは限りません。運が悪いと、リムラがずらっと食卓に並びます。
「タートルネークかぁ……料理するのに、ちょっと時間かかるね」
「ホノオダマあたりを呼び出して、ささっと焼いちまったらどうだ?」
「皮の表面だけ焦げて、中まで煮えないから駄目だよ~」
「しゃーねーな……俺が甲羅をはがすから、嬢ちゃんは適当に中身捌いてくれ」
「はーい。あ、香り付けたいから、後でヴァイングリンの葉貰ってきて」
 シラットさんはとても優秀な狩人で、獲物を見つけた時はほとんど逃がすことがありません。むしろ、向こうの方から寄ってくることも多いようです。何も知らずに近づいて来た相手の前で巨大化――後は、一瞬にして首を駆るだけ。簡単すぎて拍子抜けしてしまうほどです。
 最初の頃、アニーサは毎日のようにシラットさんを絶賛していましたが、『だまし討ちみたいで、ちっとばかし気が引けるがな……』という小さな呟きを聞いてからは、『ありがとう』だけで済ませています。

 朝食を食べ、薬草集めを済ませたら、今日の目的地に向かってアニーサ達は歩き出します。リリは狙いすましたように食事に合わせて目を覚ましますが、ネクロドが起きてくるのは大抵出発ギリギリで、食べ物もほとんど口にしません。
 行く場所は日によって様々です。食料が乏しい場合は街や集落に寄りますし、水が不足していればオアシスで休憩します。洞窟で風雨を避けることもあれば、ただひたすら先へ先へと歩き続ける時もあります。しかし、一番珍しいのは――。
「着いた~! こんなに大きい遺跡は久しぶりだね~」
「この前みてぇに、空ける宝のほとんど全部がトレミットってのは勘弁して欲しいぜ……」
「宝を見つけたはいいけど、大き過ぎて運べないってオチの方が私は嫌だわ」
 アニーサ達はあまりお金を持っていません。旅の道中にお師匠様に教わった薬を作り、訪れた街や村で売って少しずつ貯めるようにはしていますが、保存食や魔薬などの必需品を買うとすぐに減ってしまいます。旧世界の遺物は高額で取引されるため、遺跡探索は重要な資金調達の手段です。
「きゃー! トレラージ出た! でっかい! 怖い!」
「よりによって最悪の奴かよ!」
「幻影で気をそらすから、つべこべ言わずにさっさと逃げなさい!」
 既に無人の遺跡とは言え、危険と無縁ではありません。そもそも、手付かずの宝が残っているということは、人が立ち入れない何らかの理由がある可能性が高いのです。それは、死者の怨念による呪いであったり、古代魔法による結界であったり、トレミットやトレラージ等の宝箱に偽装する怪物だったりします。
 結局、この日の収穫は首飾りと宝石が一つだけでした。それでも上手く売れば、次の街ではいい宿に泊まれるかも知れません。

「じゃ、飛ぶよ。皆、乗って~」
 夕暮れが近くなる頃、アニーサは残りの魔力と相談して空を飛びます。距離を稼ぐのは勿論ですが、上空から周囲を確認し、明日の旅に備える意味もあります。 
「アニーサ、右に五度修正」
「は~い」
「しっかし、何もねぇな」
「そうでもないわ。前方、距離2000に集落」
 飛行中に地上を観察し、行き先を決めるのはネクロドの役割です。遠くまで見える目を持ち、抜群の記憶力を誇る彼女は、頭の中の地図を次々と書き換え、一行の進むべき道を示してくれます。
「人は住んでるのかな?」
「人数は解らないけれど、少なくとも煙は見えるわね。手前の丘で降りて、そこの木の側で野営しましょう」
「そのまま行くってな駄目なのか?」
「ゴブリンの村の可能性もあるわ。魔力が残り少ない以上、余計な危険は避けた方が無難よ」
 何かと言い争うことの多いシラットさんとネクロドですが、真面目な話をする時は、驚くほどあっさりとどちらかが引きます。何だかんだで、お互いのことを認め合っているのかも知れません。もっとも、以前アニーサがそれを指摘した時は、二人揃って即座に否定しましたが――。

 日の入りと共に、一行は野営の準備をします。ホノオダマを召喚して焚き火を起こした後、アニーサはテントを設置し、ネクロドは周囲に結界を張り、シラットさんは夕食のおかずを取って来ます。保温保冷に加え、重量軽減機能まで備えた優れものの呪法具『サオパロの黒箱』の中から昼食の残りを出したら、後はゆっくり食べるだけです。
「しかし、ムシャ、近づいて来る、バリバリ、様子がねぇな」
「怖がってるん、もぐもぐ、じゃないくぁな、ずず~」
「あんた達、喋るか食べるかどちらかにしなさいと、何度言わせるつもりかしら?」
 夕食の片付けが済み、明日の相談も終わった頃、アニーサはテントに入って休みます。旅の疲れから、すぐに眠ってしまうことが多いのですが、たまに眠れない時もあり、そういう場合はシラットさんかネクロドのどちらかが子守唄代わりに何か話をすることになっています。
「かくて、運命の糸に操られた姉妹――アラクネとセルティナは、かたや反乱軍の首領、かたや滅びかけた国の女王として対峙することとなった。アラクネの要塞は堅固で一向に落ちる気配がなく、一方、セルティナの城の内部では女王に対する不満が燻りつつあった。だが、ある人物が戦場に現れたことで、状況は一変する。それは――」
 シラットさんが語るのを止めると、テントの中の音はアニーサの小さな寝息だけになりました。
「続きはまた……だな。おやすみ」
 シラットさんはテントを出ると、上にくくり付けられた専用の寝床に入ります。魔法によって肉体を強化され、並みの魔物程度ならば軽く退ける彼とて、休息なしに動き続けることはできません。アニーサに続くように、眠りに落ちていきます。

 一方、ネクロドは眠りません。結界の端に身を置き、じっと闇の中に目を凝らしています。見えざる壁が隔てた先にあるのは、生ける者を引きずり込む死の世界。元来、そちら側の住人である彼女には、はっきりとそれが見えるのです。
「止まりなさい」
「……」
「ここにいるのは貴方の娘ではないわ」
「……」
「暗き地の底にて、静かに自分の娘が来るのを待ちなさい」
 死霊は音もなく立ち去りました。今日何度目かの来客に、猫は軽く溜息をつきます。アニーサが生きているが故に、しかもそれがまだ成長の途上にある子供であるが故に、その輝きは既に朽ち果てた死霊を常に呼び寄せます。本当ならば、死の充満する夜の国とは無縁の存在だからです。
「まったく……懲りないわね」
 新たに現れた三体を眺め、気だるげにそう言いつつも、ネクロドの顔に疲労はありません。むしろ、口元には笑みが浮かんでおり、瞳は残酷な輝きを宿しつつあります。それは、普段アニーサ達に決して見せることのない表情――彼女の本性である、悪魔の顔でした。
「空腹というわけではないけど……そちらから喰われに来たのなら、仕方ない……そうよね?」
 猫の瞳が輝き、同時に地の底から噴出したもやのようなものが死霊達に絡みつきました。どす黒いそれは、瞬く間に長い爪を持つ手や牙の生えた口へと変貌し、絡み取った餌食をなぶり始めます。数多の死霊達の断末魔の悲鳴と、一匹の猫のくすくす笑い、それらはアニーサの耳に届くことなく、夜の海の中に沈んでいくのでした。

  *  *  *

 アニーサの冒険は、ひどく不安定な均衡の上に成り立っています。
 シラットさん、ネクロド、アニーサ、誰が欠けてもすべては終わるでしょう。
 旅の危険を知る者ならば、すぐに故郷に帰るよう促すに違いありません。
 それでも朝は訪れ、旅は続くのです。いつ会えるとも解らない、たった一人の姉を探し出すまでは――。

                                  (『アニーサのぼうけん』 第四巻 五章【北の集落】より)



★senekaのつぶやき
ようこそ皆様、第六話をお届けします。
本家はギルドバトルの盛り上がりで鯖落ち祭りですが、こちらも負けじと更新。
今回はちょっと毛色の違うものを――と思ったら、ダイジェストっぽい話になりました。
実は前々から、「12歳のお子様の一人旅って無理じゃね?」という疑問がありまして、それに対する答えを……と思ったのですが、うーん、何か普通っぽいですね。
他の作品のように、ありとあらゆる危険と障害を魔法で乗り越える、というのも考えたんですが、アニーサは飽くまで見習い魔女ですし、こっちの方がそれらしくなってるかな? なってると信じたい。(弱気)
ではまた、第七話でお会いしましょう。読んで頂いて、ありがとうございました。
 
# by d_seneka | 2013-08-22 06:48 | 本編
お久しぶりです、ここのところ毎回生存報告してるような気がするsenekaです。
毎日数リットルの飲み物が腹の中に消えていきます、暑いの苦手……。

で、唐突ですが――


ギルドバトル来ました。


公開されたばかりで詳細不明なんですが、とりあえず三日後には対戦受付始める模様。
あと、役職が三つ追加されてましたね。役職一覧→各役職の詳細によると――



(o ̄▽ ̄)o 団長

 すべての人事権を持ち、 団長・副団長・攻撃隊長・防衛隊長・斥候隊長を選任できる。
 ギルドへの加入申請があれば、これを承認もしくは却下できる
 ギルドバトルでは、団長スキル『頌歌』を使用できる。と言うか、それどんなスキル???


ლ(╹◡╹ლ) 副団長

 団長に次ぐ人事権を持ち、攻撃隊長・防衛隊長・斥候隊長を選任できる。
 ギルドへの加入申請があれば、これを承認もしくは却下できる
 ギルドバトルでは、副団長スキル『激励』を使用できる。全体防御か全体回復スキル?
 (追記。ちゃんと書いてありました、『頌歌』及び『激励』は、味方団員配下のモンスターの技発動率を一定時間
 向上させる。)


(>▽<)b 攻撃隊長

 新役職。ヤマトだと古代進ポジション。
 ギルドバトルでは、攻撃隊長配下のモンスターの攻撃力が+10%される。
 ギルドバトルでは、戦術ptによる各攻撃力の加算効果が2倍になる。
 そもそも戦術ptって何よ……? 戦闘によって増加し、消費することでステータス加算できるようだが。


☆ヽ(▽⌒*) 防衛隊長

 新役職。ランクエだとイージスの担当。
 ギルドバトルでは、防衛戦においても戦術ptが獲得できる。
 ギルドバトルでは、戦術ptによる総防御力の加算効果が2倍になる。
 この書き方だと、総攻撃力と総防御力を戦術ptとギルドスキルで増加して一括処理、なのかな?


( ó ✧ò) 斥候隊長

 新役職。斥候チームの隊長? 上忍とかそういう感じだろうか?
 ギルドバトルでは、攻撃戦勝利時に獲得戦術ptが2倍になる。
 ギルドバトルでは、防御戦勝利時にも戦術ptが獲得できる。
 戦術ポイント稼ぎ役? 戦術ptが個人別所有だとすると、ここで稼いだ後で攻撃隊長になるのがいいのかも。



と言う訳で、ニ役だったのが五役に増えました。
所属メンバーが相手のメンバー個人に攻撃してpt稼ぎ→ギルドの総合ptに加算、と言うのが割と一般的っぽい
ですが、役職が絡むとなると、代表五人で対決、という可能性もあるかも知れません。
まだまだ情報不足なので、当日まで色々想像するのが楽しいかとw

ギルドメンバー全員に報酬が出るということで、ドラブレ世界は久々に盛り上がっております。
慌ててギルドに入ろうとする方、強いプレイヤーのスカウトなど、ギルド周辺が騒がしいですが――

ウチは今のところ平常運転です♪


まぁ、元々掲示板代わりに作ったとこですので……。
 
# by d_seneka | 2013-08-13 21:52 | 雑談
――アカラスが飛び去った先には――

『魔女は闇に潜む』――アニーサのぼうけん(5)のおまけ_d0031185_5483029.jpg


 バサバサバサバサ……トンッ。


アカラス「戻りましてございます、主よ」
リネーサ「夜空を飛ぶ黒き翼、闇に輝く紅玉の瞳、私はその者をサウニエと呼ぶ」
アカラス「主命に従い、変形を解かん――解呪」
リネーサ「あぁ……蝙蝠が舞う……鳥が人に代わり……私の下僕がここにいる」
サウニエ「ふむ……不思議なものですな。この森の中でも、問題なく鴉から人型に戻ることが可能とは」
リネーサ「飛べない鳥は夜の森を望み、森はそれに応えて閉じた世界を造り、世界はあるがままの形を成した。
 すべては理の流れのまま、何の不思議もないこと、愚者だけがそれに惑わされる」
サウニエ「私は愚者ですか?」
リネーサ「賢き者を使い魔に、愚かなる者を下僕に……それもまた理の定めるところ」
サウニエ「あぁ、何と惨いおっしゃりようか! 愚者は愚者なりに、誠心誠意お仕えしているというのに!」
リネーサ「下僕が主に身を捧げるのは当然のこと、それは神代の頃から変わらない」
サウニエ「下僕にも知恵の実という餌は必要でしょう。よろしければ私の問いにお答え頂きたい」
リネーサ「天に問えば神が答え、地に問えば魔が答え、人に問えば人が答えよう……」
サウニエ「多くの者が誤解しておりますが、我々吸血鬼は元来神魔に属する者――故に、夢を知りませぬ。
 夢によって形作られたこの森にて、私が本来の姿を保てるのが無性に納得いかぬのです」
リネーサ「この森は生きている――私も下僕も共にその中にいる。取り込まれた者に人も神魔もない」
サウニエ「つまり、これは幻覚ではないと?」

リネーサ「やはり下僕は愚か……私が知りたいものはもっと別の何かだと言うのに……」
サウニエ「失礼致しました。妹ぎみですが、大変健やかに育っておられます。少々お悩みの御様子でしたが――」
リネーサ「あの娘は強い魂を持っている……刻が許すのならば、どんな迷いも断ち切る」
サウニエ「ですが、心だけで危難は避けられぬかと。よろしいので?」
リネーサ「安住の地など地上には存在しない、星は人など相手にしない、生も死も選び取った道の先にある。
 アニーサはこの道を選んだ、ならば、理の許す限り進み、私が待つ彼方の地まで来るだろう」
サウニエ「失礼ながら、妹ぎみとその使い魔に、貴方と同じ道筋を歩き続けるだけの力があるとは思えません」
リネーサ「人が動けば世界も動く。私が通れば道も変わる。同じ道のようで、それは同じではない」
サウニエ「貴方が通った後も、炎が消えるわけではありますまい。残り火が、妹ぎみを焼くとしたら?」
リネーサ「あの子が旅路の果てに死を迎えたならば……私はその骸を抱いて泣こう」
サウニエ「(ほう……?)」
リネーサ「危険を顧みず、私を追い続ける妹……愛おしい……本当に愛おしい……壊してしまいたいくらいに。
 あの子は――腕を失っても脚を失っても魔術を失ってもたった一人になっても私を追い続けるのか?
 それを考えるだけで……あぁ……満ちる……満たされる……」
サウニエ「(なぜこうも歪んでいるのでしょうねぇ……この方は)」
リネーサ「満たされてしまえば私は堕落する――それ故に、行く」
サウニエ「どこなりとお供致しましょう、この翼が動く限り」

リネーサ「下僕の後ろに道がある、この森の深奥への道が」
サウニエ「結界があるのでは?」
リネーサ「壁を作る物は見つけた……触れてみた……壊れた」
サウニエ「黒石のモノリス、大戦時のものですな。やはりカラタマはここに?」
リネーサ「卵は奥で私を待っている、もう目と鼻の先」
サウニエ「ようやく三つ目ですか。しかし、トモシニス殿がこのことを知れば卒倒されるでしょうな」
リネーサ「賢き者は、その知を使うべき時を知るべき――己の賢さを知らぬとは、愚かなりトモシニス」
サウニエ「貴方にかかっては誰もが愚か者ですよ……はて、まだ壁があるようですが?」
リネーサ「……」
サウニエ「リネーサ様?」
リネーサ「ヴァン・ハ・メキゼラ・ローガ」
サウニエ「痛ーっ! 突然、何をなさいますか!」
リネーサ「見えざる壁が、神魔の血を望んだ」
サウニエ「血液認証型結界陣ですか……せめて先に言って頂きたかった」
リネーサ「道は開いた、後は飛ぶだけ」
サウニエ「それは良うございましたな……」
リネーサ「……」
サウニエ「まだ何か?」

『魔女は闇に潜む』――アニーサのぼうけん(5)のおまけ_d0031185_11405350.jpg

リネーサ「下僕もたまには役に立つと知った……」
サウニエ「私の扱い、ちょっと酷すぎませんか?」

                                     (『アニーサイラスト集』収録 【魔女と下僕】より)



★senekaのつぶやき
大変長らく潜伏しておりました……senekaです……実は今日も結構眠い。
ようやく更新ってことで、第五話『道に迷った!』の裏話です。
名前だけの存在だったリネーサ姉さん初登場なわけですが……想像以上に電波な方で苦労しました。
相方(?)のサウニエが頑張ってフォローしてますが、正直ちょっと読み辛いかも。
次回はもうちょっと会話が楽な方にしたいですねぇ……。
では、本日も読んで頂きありがとうございました。


◆この話の本編は  →こちら
◆第六話「アニーサの一日」は →こちら
  
# by d_seneka | 2013-07-25 19:59 | 後日談